事例1
事業所名 谷藤養鶏場
所在地 徳島県三好郡東みよし町
事業内容 鶏卵の販売
従業員数 3名 そのうち障がい者数 1名(精神)
1.実習開始までの経緯
障害者就業・生活支援センター箸蔵山荘より、就労移行支援事業所に対して、本事業所の紹介がある。事業主側としては、雇用契約を結ぶことは望んでおらず、グループでの職場実習を提案された。
2.職場環境改善のために
実習開始当初、事業所内の環境は劣悪(いわゆる"3K"をすべて満たしていた)で、誰でも実習に入れるという状況ではなかった。これを問題と考えた事業主と就労移行支援事業所の就労支援員は、職場環境の改善を計画。県の協力を得ながら劣悪だった職場環境を改善。今後もより多くの実習者を受け入れていく方向である。
3.雇用
平成23年に当事業所において1名の実習生を雇用。
4.雇用された方の様子
雇用された方(Mさん)は、実習中から丁寧な仕事ぶりと勤勉な態度、責任感などから、事業主の評価が高かった。この方の病名は解離性精神障がいであるが、この方は一旦心配事が生まれると、延々とそのことで悩んでしまうのが、仕事の妨げとなることがあった。この問題に対しては、事業主やほかの従業員、就労支援員などが悩みを聞くことで一つ一つ問題を解決していった。
5.今後の課題・展望
本人は、時期的に体調を崩しやすくなるところがあるので、不安が強くなったときにどのように業務を継続していくかが課題。事業所側は、現場をより整備し、より多くの実習生を受け入れ、雇用の拡大を図っていく予定。
事例2
事業所名 まるほ食株式会社 徳島工場
所在地 徳島県美馬市美馬町字水久保
事業内容 屑鳥、解体仕分け、鶏肉加工処理、冷凍ピザ製造
従業員数 132名 そのうち障がい者数 5名
1.実習開始までの経緯
雇用率未達成だったため、職場適応訓練にて障がい者の雇用を経験。その結果、障がい者の持つ能力を有効活用することで、周りの人にも劣らない仕事ぶりを発揮したため、以後、積極的な雇用を行うようになった。
2.事業所の障がい者雇用の考え方
事業所の考え方として、実習を受け入れるときは雇用することを前提に評価し採用を考えていただく。仕事に本人を合わせるのではなく、本人に仕事を合わせて働いてもらう。本人と会社だけではなく、家族や支援者も入り、みんなで障がい者の就労生活を支えていきたいという考え方のもとで雇用を行っている。
3.職場配置
本人のこれまでの取り組みや経験を参考に配置を行い、仕事ぶりを見ながら、本人の適性や能力を見出し、最終的な配置場所を決定するようにしている。また、既知であるなど人間関係が良好である場合には、職場配置に考慮し、そのことが本人が不安になった時や、体調を崩す際などの予防線となっている。
4.さいごに
「大きな機械があるから危ない、衛生面には特に気をつけなければならない、作業が複雑、忙しいから」などと障がい者雇用を断わる事業所が多いが、まずは、雇用を前提に実習などにより受け入れてみることで、その人の特性や才能と出会える。職場内の作業手順や、環境づくり等の改善点に気付くきっかけにもなり、挨拶や真面目さ、基本的な習慣など彼らから学ぶべき点も 多くあった。一般的に習得に時間がかかる、何らかの配慮が必要であるなど、デメリットがあると言われるが、それらを補えるような魅力が障がい者雇用には十分ある。